ハイブリッド証券ファンドという商品をご存じでしょうか。
うちの母はもうすぐ60歳を迎えるのですが、老後の資金作りのため、数年前にハイブリッド証券ファンドを100万円ほど購入していたことが、ついこの間わかりました。笑
昔から懇意にしている地元の地銀から勧められて購入したらしいけど、当の本人はファンドの中身を全然理解していなかったのですよね。。
先に相談してくれれば良かったのに!と話しましたが、私がせっせと資産運用をしていることを母は知らず、銀行に勧められるがままに選んでしまったとのこと。確かに、資産運用してるのを伝えてなかった私にも非があったなと反省です。
年末年始に帰省した際、「どうなのこの商品?」と聞かれたのだけど、ハイブリッド証券ファンド自体私もあまり目にして来なかったため、是非について即答できず…。
母曰く、銀行からは「元本割れのリスクは低く定期預金よりも利回りは高いので、比較的安全資産として保有できる」と言われたらしい。
果たして本当にそうなのか…!?自分の知識のためにも、これを機会にハイブリッド証券ファンドについて調べてみました。
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Contents
そもそもハイブリッド証券とは?
ハイブリッド証券とは、企業が資金調達のために発行する、株式と債券を組合せたような特徴を持つ証券のことです。「ハイブリッド」という名前は、株と債券の2つを混ぜたという意味でつけられたのですね。
一般的な認識としては、期待リターン、価格変動、弁済順位の3つにおいて、株と社債の中間に位置しているのだそうです。
画像元:投信資料館
例えば、普通株よりも優先的に配当が得られる「優先株」と呼ばれるハイブリッド証券や、通常の社債よりも利回りが大きい反面、債務弁済の順位が低い「劣後債」というハイブリッド証券などがあるようです。
確かに2つとも、株でありながら社債くらいキャッシュフローが早かったり、債券でありながら株のように利回りを高められたりと、社債と株の中間のような特徴を持っていますね。
ハイブリッド証券にはいくつか種類があり、上記に挙げた優先株、劣後債の他にも、永久劣後債、優先出資証券などが存在します。
ハイブリッド証券ファンドとは?
この、企業が発行するハイブリッド証券を投資対象にしたファンドが、ハイブリッド証券ファンドです。どの企業のどんなハイブリッド証券を組み入れているかは、当然ファンドごとに異なります。
ちなみにうちの母が購入したのは、グローバルスピリット2(あしぎん世界金融機関ハイブリッド証券ファンド2015-05)というファンドです。(お察しの通り、足利銀行という地銀の商品です。)
・世界(主に先進国)のG-SIFIsに指定されている金融機関が発行している米国ドル建て、ユーロ建ておよび英国ポンド建てのハイブリッド証券を主要投資対象とし、相対的に高水準かつ安定的な利子・配当等収益(インカム収入)の獲得を図りつつ、中長期的に信託財産の着実な成長を目指します。
・原則として、投資するハイブリッド証券は、当ファンドの償還日前にコール(繰上)償還や定時償還が設けられている銘柄とします。
・外貨建て資産については、為替変動リスクを回避するため、原則として為替のフルヘッジを行います。
・実際の運用にあたっては、パインブリッジ・インベストメンツ・エルエルシー(PineBridge Investments LLC)に外貨建て資産の運用に関する権限を委託します。
説明を見るに、先進国の金融機関が発行するハイブリッド証券をいくつか組み入れているファンドですね。2015年~2018年9月までの3年満期で、毎年4回分配金があるようです。
組み入れ資産比率については、下記の通りです。優先株が約7割、劣後債券が約3割といった具合です。
例:グローバルスピリッツ2の利回りやコスト、リスクは?
見慣れないワードが多くわかりにくいですが、大事なのはリターンです。試しにこのグローバルスピリッツ2の利回りやコストはどんな感じか、見てみることにします。
利回り
まず利回りを見てみると、2015年5月に基準価額10,000円からスタートし、2016年10月決算では9,838円(分配金込み9938円)、2017年10月決算で10,315円(分配金込み10,435円)、年末の12月29日時点では10,365円(分配金込み10,485円)となっています。
設定来の利回りは分配金込みで4.85%ですが、1年単位で見ると落ち込んだ年もあり、過去データがない状況なので、この先どうなるかは正直なんとも言えません。各国の銀行が発行しているので、債務不履行などは考えづらいですけどね。
コスト
信託報酬については0.506%です。アクティブファンドとしては悪くないパーセンテージとは思いますが、パフォーマンスがそこまで高くないだけに、やっぱり少々割高な感じは否めません。ちなみに販売手数料がなんと最大3.24%かかっていたらしいのたけど、うちの母は覚えておりませんでした。。
3年間の運用商品で手数料が3%超えるってかなりのインパクトです。。このあたりが銀行を経由することのデメリットですよね…。
リスク
値動きのリスクですが、騰落率を見ると平均3%です。ここはさすが債券と株価の間なだけあって、リスクは小さいと言えます。
この2年でのマイナスの最大騰落率は2.4%なので、もし仮にマイナス着地になったとしても、大きな損失はなさそうですね。「極力元本割れしない商品を!」とうちの母が念押ししていたので、銀行さんも低リスクの商品を選んでくれた模様。笑
投資先として有望かどうか
このグローバルスピリッツ2ですが、組み入れ資産とこれまでのリターン・コスト・リスクを総合すると、悪くはないけどもっと良いファンドはたくさんあるかな、という印象です。
販売手数料含め、コストの割にリターンがさほど大きくないことと、過去データがないので先が読めない点が気になるのだよね。。
低コストでもう少しリターンを狙うなら、例えば国内債券インデックスファンドや世界バランスファンドの方が良いような気がするなぁと。アクティブファンドにしなくてもより低コストで同等の利回りが得られそうです。
ただ3年という短期運用だしリスクも小さいので、上に書いたように大打撃は受けないだろうと思います。それを母に伝えたら、とりあえず安心はしていましたね。
今回見たファンドは数あるハイブリッド証券ファンドうちの1つでしかないのだけど、仮に他を検討したとしても私の結論は変わらそうです。
個人的にはハイブリッド証券ファンドよりもコストが低く、実績のあるファンド(もしくは実績が見込める材料があるファンド)を選んでいきたいところですね。
ちなみに余談だけど、母の話を聞いて、未だに銀行員の信用力は大きいんだなと実感しました。母としては、昔からお世話になってる銀行員さんだから信用できるし、少しくらいの手数料は許容するらしい。
確かに運用の知識が全くなくて、考えるのも面倒だって人には地方銀行って価値があるのかもしれないね。地元の携帯ショップや保険代理店、街の電気屋さんも然りで、だからこそ企業は未だに店舗を設けてるんだと思います。
とはいえ、金融知識を少し身につけるだけでわかることは多いです。何歳になっても、お金については勉強していきたいですね。
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・私が積み立てをしているバランスファンドです。資産クラスも均等で、且つ低コストなので気に入っています。安全に運用したいならこれ1本でも良いんじゃないかな。
・アクティブファンドで好きなのは、ひふみ投信ですね。「守りながら増やす」方針を掲げているので、不況時にも柔軟に対応する優秀なファンドです。
・投信で運用する上で、最悪のケースを予想しておくのは大事です。どの程度騰落する可能性があるか、調べる方法を記載しています。