ここ最近使われるようになった下流老人という言葉。
引退後というと、それまでの頑張りの対価として悠々自適な生活が待っていると想像しがちですが、近年ではそんな裕福な生活とは縁遠い、逼迫した暮らしをしている方々も少なくないと言います。そんな普通の生活もままならない高齢者が、下流老人として定義されているようです。
そして、少子高齢化がより進行していく将来、年金額が減り、支給年齢も引き上げられることはもう確実。下手をすると現役世代である私たちにだって、下流老人になる可能性は孕んでいるのだよね。。
下流老人がみんな不幸というわけでは決してないのだけど、老後、金銭的に不自由という状況はやっぱり避けたいところ。今回は下流老人の現実とそうならないために備えておきたいことなどについて、まとめてみました。
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Contents
下流老人の実態
下流老人という言葉は、NPOほっとプラス代表理事の藤田孝典氏によって作られた造語です。その藤田氏の記事には、具体的な下流老人の生活実態が記載されていました。
下流老人は、いまや至るところに存在している。
スーパーマーケットでは、見切り品の惣菜や食品を中心にしか買えずに、その商品を数点だけ持って、レジに並ぶ老人。
そのスーパーマーケットで、生活の苦しさから万引きをしてしまい、店員や警察官に叱責されている老人。
あるいは、医療費が払えないため、病気があるにも関わらず、治療できずに自宅で市販薬を飲みながら痛みをごまかして暮らす老人。
夏場に暑い中、電気代を気にして、室内でエアコンもつけずに熱中症を起こしてしまう人。
家族や友人がいないため、日中は何もすることがなく、年中室内でひとりテレビを見ている状態にある人。
収入が少ないため、食事がインスタントラーメンや卵かけご飯などを繰り返すような著しく粗末であり、3食まともに取れない状態にある人。
ボロボロの築年数40年の持ち家に住んでおり、住宅の補修が出来ないため、すきま風や害虫、健康被害に苦しんでいる人。
わたしたちのもとに相談に来られる高齢者はこのように後を絶たない。
…辛い。。
若者ならまだしも、体力の衰えもある高齢者にとって、栄養のある食事が摂れなかったり、健康を害する家に住まざるを得ないというのは厳しいことです。
なぜ低水準の生活を余儀なくされてしまうかというと、蓄えがないことに加え、年金支給額って私たちが想像する以上に少ないという現実があるからなのだよね。
将来もらえる年金ってどのくらい?
私たち国民は、国民年金第1号被保険者~第3号被保険者のいずれかに分類されています。
第1号被保険者は自営業者や学生などが当てはまり、第2号被保険者は会社員や公務員、第3号被保険者は専業主婦などの「第2号被保険者に扶養されている人」が該当します。
基本はみんな国民年金に加入しているのだけど、第2号被保険者(会社員や公務員)のみ、厚生年金にも加入することになります。国民年金に金額が上乗せされるので、支払いは自営業者などより多い分、将来の支給額は多くなるわけですね。
さて、現役世代が毎月せっせと納付している年金ですが、実際に支給される額はどれくらいなのか。平成27年度の平均支給実績は下記の通りです。
・国民年金 単身者:55,244円
・国民年金 夫婦:110,488円
・厚生年金 単身者:145,305円
・厚生年金(夫)+国民年金(妻):221,364円
・厚生年金 夫婦共稼ぎ:268,251円~290,610円
どうでしょう。国民年金だけを支払い続けてきた単身者は月の支給が約55,000円のみです。この金額では、もしも蓄えがなかったら、自由に生きていくのはほぼ不可能だとわかると思います。
厚生年金に加入していたとしても約145,000円ですから、それでもかなり少ないですよね。寄り添う夫婦がいればなんとかやっていけるかもしれませんが、1人で生きていくとなると、相当厳しいという現実があります。
しかもこれは40年間保険料を支払った場合の満額であり、実際にこの金額をもらっている人は少ないようです。
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下流老人にならないためにマネーリテラシーをつけておく
上記で見てきたように、国民年金も厚生年金も決して暮らしに充分な金額ではありません。さらにこれからの超高齢化社会では、支給減額と支給年齢の引き上げがほぼ確実です。
もうお気づきかと思いますが、下流老人にならないためには金銭的な備えが必須となります。加えて、支出や運用のためのマネーリテラシーと呼ばれる金融知識も身につけておくべきです。
具体的には下記2つの方法が有効だと考えています。
老後の蓄えを運用によって作り出す
家計調査によると、60歳以上の一人暮らしの標準生活費は約157,000円だそうです。(ちなみに夫婦では約268,000円)年金だけでは到底賄えませんね。。
もしもその人が国民年金加入だった場合、月の支給額は約55,000円、標準生活費との差額は102,000円です。仮に65歳まで働いて90歳まで(老後25年間)生きるとすると、最低でも3,060万円は蓄えておかなければなりません。
その金額を捻出するには、やはり長期投資が有効だと考えます。その人がいま30歳だったとして、65歳までに3,060万を貯金しようとしたら月々約72,800円の積立が必要です。しかし年利3%の金融商品で積立を行えば、45,152円(課税考慮済)で済みます。
資産運用の知識の有無、そして取り組むか否かの違いはこれほどに大きいわけです。
支出マネジメント能力を身につける
次にお金の使い方についても習慣付けしておきたいところ。働いているときは尚更、自分へのご褒美といった名目で、バンバンお金を使ってしまいがちです。お金を豪勢に使うことが、むしろかっこいいとさえ思う人もいそうですね。
早いうちから「不必要なものにはお金を使わず、必要なものにだけお金を使う」という価値観や、「同じ効果ならより安いものを選ぶ」といった習慣を身につけておくべきです。
そうすれば自分が年を重ねたときも支出のコントロールができるので、浪費することでストレスを発散するなんてことはなくなると思います。
年金は当てにならないと言われるのは本当で、これまでは会社の退職金が必要資金との差額を補ってくれていたけれど、これからの時代そうもいかなくなってきています。
下流老人と呼ばれ、十分に生活ができず苦しんでいる人の救済は必要かもしれませんが、早いうちからしっかり対策をしておけば、今の状況を防げた可能性もあったのだと思います。
老後が不安…と感じているのなら、今のうちから計画的に賢く備えていきましょう。
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